過去ログ - 幸子「ドリーム・ステアウェイ」 みく「イントゥ・ヘル」
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◆.nnFO3p0tfz9
[saga]
2016/04/28(木) 02:56:36.24 ID:QpcqwhoJO
「……怖い筈だと、思ったからです」
「ほう……怖い。私がかい、それとも君が? 君は十分に愛らしいが、恐怖を覚える外見ではないな」
戯れの軽口も耳に入らないかのように、幸子は視線を校舎――その屋上へ真っ直ぐに向けたまま、言葉を続ける。
「美嘉さんは、ボクが完全に気付く¢Oに、ボクを倒そうと狙ってきました。本当にボクが敵になるのか、まだ確実ではない段階で――しかも、まだ守ってくれる誰も居なかったボクをさえ、まず行動を封じて、それから刺そうとしました。
そうまでしてボクを逃がしたくないのは、きっと、目に届かない所で行動されるのが怖いからじゃないか――ボクだって逆の立場だったら怖いですよ。命を狙った相手が逃げ延びて、今度はどんな手で仕返ししてくるか分からないなんて」
「……ふむ」
「だからきっと、次に美嘉さんがボクを見付けたら、今度こそ絶対に逃がしてくれないだろうって思ったんです。それで、もしボクが美嘉さんだったら、どうやってボクを逃がさずに――殺そうとするか、考えました。戦いが怖くて、慎重で、でも勝率の高い武器を持っている美嘉さんの気持ちになって」
「成程、その勝率の高い武器≠使いたがるだろうね――」
あいは、胸の前で組んだ腕を解き、片手を幸子の頭に乗せ、髪をわしゃわしゃと掻き乱した。
14歳の少女への称賛としては、些かに幼いやり方であったかも知れないが、手から伝わる人の温度は、無条件に安心感を呼ぶ。
「――君を決して逃がすまいと、自分が持つ最強の札、高垣楓の干渉≠使う。そして、動きが止まった君を、これまで通りのやり方で≠ニどめを刺そうとする――意識的にか無意識にか、君が未知の武器を用いる前に、迅速に」
「……正直に言うと、賭けでした。理屈で幾ら考えてても、美嘉さんがその通りに動いてくれるとは限らない。美嘉さんがつられて動いてくれても、今度はボクが、本当に動けるか――あいさんの干渉≠ナ、楓さんの力を防げるかは分からない。全てが上手く行っても、美嘉さん自身がもっと強くて、ボクの不意打ちを防いでしまうかも知れない――」
後にして思えば、なんと不確定要素の多い賭けであった事か。
たった一つ歯車が狂えば、その時点で二人は敗北していただろう。
「――だから、運が良かったんです」
結局は、この一言に尽きるのだ。
か細く呻くように吐き出した言葉が、自分の言葉自体が恐ろしいとでも言うように、幸子はぶるりと体を震わせた。
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