876: ◆9W6PAVDo7.[saga]
2016/09/03(土) 04:34:00.87 ID:ab2PVF4o0
放浪者はサポートチームの部屋を訪れていた。いつものエクスと伊吹、そしてビジョンの姿は見えなかった。姿を消しているのかと思ったが、エクスが言うにはレーザー銃の射撃練習に行っているとのことだった。
研究所は都市からも、人里からも離れた位置にある。ゾンビの気配すらなく、生存者の気配もない。いるとすれば野生生物が見られるぐらいだ。超能力を動力をしていることから、使うことに練習は必要だとして、危険とは程遠いここにいるビジョンが、率先して練習しているのに放浪者は違和感を覚えた。
「あー、そうそう。藍の研究してた連中だけどな。あれから情報でねぇんだよな」
めぼしい情報はないと言う様子でエクスはそう話した。幸先の悪い新年の始まりということだが、パラノイアの件を控えている放浪者にとってはある意味都合良い事ではある。
「それってつまり、俺が探し出した情報がビンゴってことだと思ってる訳よ」
いつも通り不敵な笑みを浮かべるエクスが言うには、WWPが待ち伏せしていたことを考えると、そこに藍がたどり着く可能性があるとわかるからこそ仕掛けた。そして、ならば重要な施設自体があの周囲にあると考えるのが自然。何故なら、そういう存在があってこそ、情報というものが生まれる。
「そこにあった死体に関しては、藍を生み出した研究員は居なかった。だけどよ、この都市にすら地下に研究施設があったんだ。ホムンクルスなんて大それたものを生み出すなら、隠ぺいするのに地下の方が間違いないだろ?」
エクスの話は推測の域と言えばそれまでだ。しかし、オンライン上で彼が取得できない情報はそう滅多にない。その彼がそれ以上見つからないと言っているなら、その可能性が最も高い。
しかし、だからこその問題もある。WWPは藍を狙っている、それはほぼ間違いない。待ち伏せが失敗したからといって、もうそうしていないとは考えづらい。この荒廃した世界で闇雲に探すより、可能性がある場所で構えていたほうがいいだろう。少なくとも力のあるWWPがそれができない理由はない。
「まー、藍に話すかは任せるけどな」
その言葉で、エクスはこの話を締めた。
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