過去ログ - 就活生「私の『特技』は、他人を自殺させることです」
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1: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:06:19.87 ID:hxg9Q7/i0


「……はい、それでは以上で面接試験を終了させていただきます。お疲れ様でした」
「はい、ありがとうございました! 失礼いたします!」

 スーツ姿の青年が部屋を出たのを確認したのと同時に、私はため息を吐いた。彼は見るからに貼りつけたような笑顔を終始崩さずにいて、こちらからの質問にもその笑顔と同様に作り物めいた答えを繰り返していた。

『私はサークルの代表を務め……』
『海外にボランティアに行き……』
『数々のイベントを成功させ……』

 自分では独自性の高い答えをしていたつもりだろうが、数々の就活生を面接してきた私にとっては、彼もまた『量産型の就活生』の枠を出なかった。そう、就活のために作り上げた輝かしく見える自分を、壁に向かってアピールしているに過ぎない。

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2: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:08:03.07 ID:hxg9Q7/i0

「□□さん、今の子はちょっと……」
「ああ、わかってる。『なし』だな」

 隣に座っていた営業部の若手社員が私に苦言を呈す。現場からしても、あのように印象に残りにくく、相手との『対話』を忘れているような就活生はあまり好ましくないようだ。
以下略



3: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:11:33.03 ID:hxg9Q7/i0

「□□さん。今日はあともう一人面接に来るんですよね?」
「うん、時間通りであれば、もう来ているはずだね」

 手元にある履歴書を確かめながら、若手社員の質問に応じる。時刻は午後四時の十分前。こちらが面接時刻に指定した午後四時まではまだ間がある。
以下略



4: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:16:03.49 ID:hxg9Q7/i0

 若手社員は伸びをしながら疲れを追い払うようにあくびをする。仕事中にこのような態度を取るのはあまり好ましくないが、今年から面接官を経験する彼にとっては、何人もの人間に同じような質問をして、同じような答えが返ってくるのは結構堪えるだろう。そう思った私は、あえて彼の態度を咎める気にはならなかった。
 しかし、会社としても同じような学生ばかりが来るのは困る。既に季節は秋から冬に移り変わろうとしており、採用のピークも過ぎていた。そんな中でわが社が採用を続けているのは、内定辞退者が出た故に、欠員を補充するためである。
 だが、この時期になっても就活を続けているような学生など、はっきり言えばたかが知れている。だとしても新しい人材、しかもこちらの目を引き尚且つ有能な人材は欲しいのだ。だから私たちは、何人もの『量産型就活生』の中から、一握りの有能な人材を見出さなければならない。



5: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:18:23.31 ID:hxg9Q7/i0

「ほら、そろそろ次の就活生が来るぞ。休み時間はここまでだ」
「はい。さて、今度はどんな奴が来るかな……」

 若手社員が姿勢を正した直ぐ後に、扉をノックする音が響いた。
以下略



6:名無しNIPPER[sage]
2016/05/02(月) 22:19:53.09 ID:jmqx+NqJO
面白そうだが
改行少なくて読みづらい件


7: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:21:55.67 ID:hxg9Q7/i0

「失礼します」

 その就活生は、まだ二十代前半であろうにも関わらず、頭髪がかなり薄くなっており、地肌が見えていた。残っている髪も妙に癖がついている上にテカテカと脂ぎっていて、あまり清潔感が無い。
 痩せた顔には黒縁のメガネをかけており、アゴのラインには必死で剃ったであろう髭が青く残っていた。
以下略



8: ◆BEcuACNawuaE
2016/05/02(月) 22:23:29.83 ID:hxg9Q7/i0

「では自己紹介をお願いします」
「はい、A大学から参りました、××と申します。よろしくお願いします」

 就活生、××が口にした大学名は国内でもかなりレベルが高いとされる学校だった。そんな彼がこの時期になってまで就活をしている理由は、考えるまでもない。
以下略



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