過去ログ - モバP「楓さんと同じ高校だったら」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 22:40:48.28 ID:d30ie544O
「藻場くん、何見てるんですか?」
季節もめっきり夏めいて、クーラーのあるという、県内の私立の学校に転校したいと、後先考えない欲が首をもたげる。
しかし、俺は読んでいた雑誌により、さらなる欲を発生させていた。
雑誌にはでかでかと『今、彼女と行きたいデートスポット』と書かれており、堂々第1位にUSJの名が輝いている。さらに、読者寄贈であろうか、USJに行った際の体験談が、馬鹿馬鹿しい文章で書かれている。一部抜粋。
「で、お化け屋敷で、彼女が怖がっちゃって、もうやばくて、もう。かわいいつーかなんつーか……やばいですまじ」
俺がやべえよ。嫉妬心で俺がやばい。
USJとはいわない、最悪みかん狩りでもいい。和歌山は誇る所がそこしかないからそれでもいい。
ポタリと、汗が一滴雑誌におちる。暑さの所為か、焦りの冷や汗か。どちらにしろ、雑誌には涙にも見えるしみが一つ。しかし、借りた友人には悪いが、いまは構っていられないのだ。
「まじで彼女欲しい……いやまじでほしい」
自然と欲が口から洩れる。彼女はどこに売っていますか、というレベルの青春欠乏症なのだ。仕方あるまい。
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2:名無しNIPPER[sage]
2016/05/03(火) 22:51:51.52 ID:douQ/yp6o
ひっでえ苗字ww
3:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 22:56:51.15 ID:d30ie544O
「藻場くーん、何読んでるんですか?」
彼女がほしいと、念じるように記事を凝視していると、とんとん、と指で肩を叩かれる。
振り向くと、目の前には高垣さん。いつの間にか教室に来ていたようだ。
4:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:57:19.73 ID:d30ie544O
「ちょっと行きたいってくらいだけどね」
だから俺は、内心での青春欲を押さえ込んで、言った。俺にだってプライドはあるのだ。周囲に彼女いない歴イコールだと公言できるほど、俺は男を捨ててはいない。周りが男だけならまだしも、そうではないのだ。周りの女子にキャハハドウテイキモーイとかやられたら泣く自信がある。その上高垣さんとかに言われたら、屋上からダイブしてしまう。
まあ、さすがにそれはないとは思うが、「ああ、藻場くんって彼女いた事ないんですね……」みたいな気を遣った発言により心が滅多刺しにされるのは必至。これは親しい友人にやられたらかなりきつい。
5:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 22:58:01.04 ID:d30ie544O
「じゃあ、USJKしましょう。USJにJKと行く、略してUSJKです」
高垣さんが、しゃきーんと口にしながら、腕を前に突き出した。関わるとわかるが、彼女は大変お茶目さんである。
「USJK…!」
6:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 22:58:29.34 ID:d30ie544O
「……っ、ご、ごめん」
当然、こっちまで恥ずかしくなる。だって可愛らしいのだもの。ぶりっ子という感じはしないのは、照れる姿が様になっているからであろう。美人はズルい。
暫く無言の間が続いた。聞こえるのは蝉の鳴き声ばかりである。
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