過去ログ - 佐久間まゆ「白くて苦い……」一ノ瀬志希「Love Potion♪」森久保乃々「えっ」
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50: ◆Freege5emM[saga]
2016/06/06(月) 01:47:57.39 ID:a9zWnqM0o


おぞましい志希さんのラボから抜け出して、ふらふらと駅まで歩いていると、
フェンス越しに水色の帯を巻いた電車の走る姿が見えました。

もりくぼは改札を通って、
その電車――京浜東北線――が来るホームを探しました。



寮へ戻る気はまったく起きませんでした。

志希さんの話を聞いた後だと、
あの寮室でまゆさんと過ごした時間とか、アイドルという存在そのもの、アイドルにかかわるすべてが、
おとぎ話の悪い魔女のような嘘――あるいは、嘘のようなおぞましい本当――のかたまりにしか思えなくて、
もうシンデレラガールとかただ悪趣味な冗談です――とにかく、そこから離れたかったんです。



京浜東北線は、ラッシュの時間帯でなくても、それなりに混み合ってます。

そんな中で、他のお客さんとならんで吊り革にぶらさがっていると、
もりくぼがアイドルだったなんて、何かの悪い夢だったような気がします。

だいたい、きっかけからして、親戚の人に半ばムリヤリ……うう。



不意に、携帯がブルブルと震えるのを感じてモニタを見ると、
もりくぼ担当のプロデューサーさんの名前が表示されていました。

でも、取りませんでした。電車の中だから、なんて自分に言い訳して。
メッセージが着信かも確認してないくせに。



振動はすぐに止まりました。
どうやらメッセージだったようです。

開いてみると――サムネイルでよくわかりませんが――何か雑誌の表紙っぽい写真が1枚どんとあるだけ。
画像をタップして拡大すると、もりくぼが愛読している漫画雑誌と同じ名前が読めて……
でも、最新号ではないようです。

何でこんなものを、と思った瞬間、もりくぼは危うく携帯を取り落としそうになりました。



な、なんで雑誌の表紙に、もりくぼの顔と名前が載ってるんですか……?



もりくぼは電車を降りて、
すぐにプロデューサーさんへ電話をかけました。

『おお、森久保、オフにすまんな。
 この前の、森久保が毎号買ってるっていうアレのインタビュー、
 ゲラ――ああ、試し刷りのことだ――が届いたら、すぐに見せるって言っただろう?
 さっきあちらさんの担当がよこしてきたから、送っておいたぞ』

と、いうことは……
あれが、数十万部も刷られて、全国の本屋さんとか、コンビニに並ぶんですか……?



『ん、俺は今事務所だけど……今からこっちに向かう? 森久保が?
 俺の知らない間にそんな仕事熱心に……ああ、悪い悪い。

 送っちゃっておいてなんだが、内容チェックは次の出勤日でも全然構わないぞ。
 そりゃ先方は戻しが早ければ早いほどありがたがるだろうけど、休みの日に無理して……』

もりくぼは京浜東北線を下りから上りへ乗り換えました。

嬉しそうな声の、私の……もりくぼのプロデューサーさんが、
悪い魔法使いだったとは、信じたくなかったんです。


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