過去ログ - 佐久間まゆ「白くて苦い……」一ノ瀬志希「Love Potion♪」森久保乃々「えっ」
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53: ◆Freege5emM[saga]
2016/06/06(月) 01:50:31.81 ID:a9zWnqM0o


もりくぼは寮のエレベーターに乗り込むと、階数の表示を見上げました。
デジタルの数字が、1、2と切り替わって、やっと3階。
扉が開いて、エレベーターを出て、寮の自室へ向かいます。

時間は、夜よりの夕方。
まゆさんと二人で志希さんの家に向かって出たのが午前中だから、
半日近く経っていることになります。



寮室に、まゆさんが居るかどうかは……『いるかも知れない』程度の考えでした。
いなければ、どこかへ探しに……けれど自室の鍵を開けようとして、施錠されてないことに気づきました。

十中八九、中にまゆさんがいる――息を吸って、吐いて、もりくぼはドアを開きます。

「まゆさん――ただいま帰りました、もりくぼです」



内扉を開いた向こうは、泥棒でも入ったかのような荒れっぷりでした。
床に白いものが散乱していて……よく見ると白いものは、まゆさんの筆跡がズラズラと連ねられた紙で、
おそらくまゆさんの日記帳がバラバラになった成れの果てでした。

それらが床に広がっている中央で、まゆさんは仰向けに横たわり、
白い思い出に埋もれて天井を見上げていました。



「……【夏の秘め事】で水に沈むオフィーリアみたいですね」

もりくぼは、まゆさんがかつて演じたドラマの様子を思い出しました。
確かあれも、実らない恋を抱えた女の子の物語でした。



「……まゆさん、まゆさん」

まゆさんの左手首は、結び目が一つだけ残った紅いリボンが巻き付いていて、
白いページの上に紅い線を垂らしていました。

「まゆさん」

もりくぼがしつこく声をかけ続けると、
不意にまゆさんが口を開きました。



「……まゆが……プロデューサーさんと出会ってから、
 思ったことは、やってきたことは……
 全部……惚れ薬のイタズラ、だったんですか……?」





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