1:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:42:18.17 ID:nKNVkMal0
  
    
    
  すううう……と、  
    
  私は息を吸う。  
    
  大きく、大きく、  
    
  大きく、大きく。  
    
  呼吸を、整えた。  
    
    
    
  掌の上で転がる、  
    
  柔らかく赤みがかったカプセルを、  
    
  勢いをつけて、口の中へと放り込む。  
    
    
    
    
    
    
    
  ごくり。  
    
    
    
  みるみるうちに、身体へその力が及んでいく。  
    
  視界の内を彩る木々が、本で読んだだけの屋久杉を彷彿とさせた。  
    
  薬を渡してくれた西垣ちゃんが、深夜アニメで見た巨人を想起させた。  
    
  綺麗に咲いた花壇の花々が、おしべやめしべまでグロテスクなほどに見えた。  
    
  そして、ごらく部のあるこの学校が。  
    
  これでもか、これでもかと巨大なものに変貌を遂げる。  
    
    
    
    
    
    
    
  異形化が止まったとき、いつもと同じように、  
    
  横にいるあかりは微笑みの表情を湛えて。  
    
  「スゴいね、京子ちゃん。小さくなっちゃったぁ」  
    
  「……そうだな」  
    
  「ワクワクしちゃうなぁ、これでくもに乗れるなんて」  
    
    
    
  
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:42:59.47 ID:nKNVkMal0
  
 ―― 
  
 ―――――― 
  
3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:43:40.00 ID:nKNVkMal0
  
 いや、 
  
 気を落としちゃいられない。 
  
4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:44:12.25 ID:nKNVkMal0
  
 「おっ、どうした歳納」 
  
  
  
5:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:45:02.13 ID:nKNVkMal0
  
 「2人ともー、身体におかしいところはないかー」 
  
 「大丈夫ですー」 
  
6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/05/20(金) 07:45:45.96 ID:nKNVkMal0
  
 やがて私たちは、ふわふわと浮かび上がっていく。 
  
 実在するのかさえまだ知らないくもの粒と、おそらく同じように。 
  
20Res/13.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。