9:墓堀人[saga]
2016/05/23(月) 10:46:57.97 ID:QQKHlK4R0
初めてのクイズ番組、なれない形式に戸惑ってミスを連発し、チームの足を引っ張ったのは紛れもない事実だ。
全国放送の番組で醜態を晒してしまった事を心から悔やんでいる真っ最中、素直で配慮に欠ける私のプロデューサーはのん気な顔をして笑っている。
まるで転んで泣いている子供に向けるような、優しい笑顔で。
「いいわ、実際におバカな回答をしたんだもの」
拗ねた顔で聞き分けのいい言葉。男の人を困らせる意地悪なやり方だ。
けれど、今のこの人にはそれくらいでちょうどいい。
私は彼から目線を外し、控え室の鏡に視線を移す。
自分ではあまり見ることのない顔をした私の隣で「参ったな」とでも言いたげな表情で、彼が立っていた。
それを見ても罪悪感は殆ど感じない。強いて言うなら悪戯心だけが心の中で静かに囁いている。
もう少しくらい意地悪してみようかしら。
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