過去ログ - 僕「神様はいつだって不公平なんだ」
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6:名無しNIPPER
2016/05/24(火) 00:02:30.68 ID:FUlEGc5x0
すると、野良犬は何を思ったのか、僕君の手をペロペロと舐めだしました。
「くすぐったいじゃないか!なにをするんだ!」
「もしかして、僕を慰めてくれているのかい?」
くぅーんと、聞いたことのある、情けない声で犬は返事をしました。
「僕のことをわかってくれるのはお前だけかもしれないな」
僕君は野良犬の頭をそっと撫でます。
野良犬も完全に心を許したのか、僕君のすぐ隣で横たわり、手をペロペロと舐め続けました。
ドームの中にはペロペロと舐める音とザーッという、いつの間にか大降りになっていた雨の音だけが聞こえていました。
それから、僕君は今まであった事をすべて犬に打ち明けました。
犬は時折、僕君の容態を確認するかのように、顔に目を向けますと、くぅーんと鳴いて、また手を舐めるのでした。
数時間が経過した頃でしょうか、辺りもすっかり真っ暗になって、ドームの中は野良犬と僕君の白い吐息が漏れています。
「寒いよ……上着、持ってくればよかったなぁ」
部屋着で飛び出してきたものなので、僕君は薄着で、寒さを凌ぎきれません。
「それに眠い……僕、死んじゃうのかなぁ」
「でも、それもいいかもしれない」
「僕は誰かに必要とされていないから」
「僕が死んだって悲しんでくれる人なんかいないよ」
それでも、一筋の光に、希望に僕君は縋り付きます。
「お前は、僕が死んだら悲しんでくれる?」
そこで僕君の意識は途絶えました。
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