過去ログ - 【キズナイーバーSS】 「仄かに薄れて消えるる私は」
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20: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/26(木) 22:12:03.84 ID:8pdSuCqxo

 落ち着け、落ち着け、落ち着け、私。

 ――生まれてきてくれて、ありがとう。

 ジュースを持っていない空いた方の手で、顔を軽く覆った。指は震えていた。

 「……瑠々? 大丈夫?」

 穂乃香が私の顔を軽く覗き込んできた。

 自分の指の隙間から彼女の顔が見えた。

 彼女の唇はペットボトルの液体で濡れていた。夕日に彩られてとても綺麗だった。彼女の唇も、その表情も。

 心配そうな顔。出会った頃と比べて、随分豊かな表情を私に見せてくれるようになった穂乃香。

 うるさい。私は心臓をしかった。うるさいぞ、私。



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