過去ログ - 【キズナイーバーSS】 「仄かに薄れて消えるる私は」
1- 20
47: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:11:15.44 ID:d4PzBwiUo

 私は、いつの間にか皺だらけになっていたパジャマを整えてから、机に向かった。

 だらしない姿勢で原稿とにらめっこする。

以下略



48: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:12:45.12 ID:d4PzBwiUo

 私を思い出すたび、私が欲しかった穂乃香の気持ちは、私を向いてくれる。

 たとえ歪な形でも、私のものになる。私は穂乃香が欲しい。生まれてはじめて、何かを欲しいと思った。

以下略



49: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:14:22.84 ID:d4PzBwiUo

 ――穂乃香はもう私の隣にはいない。

 私は死ぬ。

以下略



50: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:15:34.14 ID:d4PzBwiUo

 ――私の中の穂乃香は、笑っていた。満面の笑顔だった。

 思い出した。

以下略



51: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:17:14.74 ID:d4PzBwiUo

 不意に私は、表情が薄い彼女を、笑顔にしてみたい、という衝動に襲われた。

 それが話しかけてみる踏ん切りになった。

以下略



52: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:19:06.84 ID:d4PzBwiUo

 ――気が付くと、机に向かいながら、私は一人で泣いていた。

 声を上げず、涙が静かに頬を伝った。

以下略



53: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:20:40.87 ID:d4PzBwiUo

 ――夕日が差す図書室。

 本当は、あんな顔をさせたかったわけじゃなかった。

以下略



54: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:22:23.28 ID:d4PzBwiUo

 生きたい。

 穂乃香が欲しかった。抱きしめて欲しかった。強く、強く。

以下略



55: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:23:29.14 ID:d4PzBwiUo

 大きく息を吸って、気を取り直して、原稿と向かいあった。

 身体が鉛のように重い。頭がドロドロのスープになったように、考えがまとまらない。

以下略



56: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:24:47.57 ID:d4PzBwiUo


『私を覚えていることで、あなたが辛くなるのならいつでも忘れて欲しい だって私は――』


以下略



57: ◆2DegdJBwqI[saga]
2016/05/31(火) 23:26:05.04 ID:d4PzBwiUo

 この通りにするなら、今まで描いていた原稿、これから先を全部描き直さなくてはいけなかった。

 なんだ、だったら描かなきゃよかったのに。

以下略



68Res/36.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice