138:名無しNIPPER[saga]
2016/06/01(水) 11:34:23.79 ID:49W9hqJ1o
飛鳥「まあそんなわけで、博士にはボクが軍用ドールということがバレてしまった。でも博士はその事を誰にも言わなかった。その代わり、ボクに研究を手伝うという交換条件を出した。それこそが、自我とスペースネットの融合実験さ。ボクは共感覚空間と自我の区別がなくなった。膨大な意志と記憶の海のなかで、ボクは識別できないあらゆる人間たちと繋がった。
飛鳥「博士は、二宮飛鳥の器にボクを固定してくれた。だからボクは一体化したスペースネットから感じる深い共感を元に漫画を描けるようになった。そして何よりボクにとって嬉しかったのは、共感覚空間と融合したことで、もう孤独を感じる必要がなくなったという事だったんだ。
飛鳥「その共感覚空間の中にはかつての仲間だったドールたちもいた。個々は識別できなかったけれど、とにかくボクはそこに安心を見出した。すると次にボクが感じたのは、何だったと思う?」
楓は再び首を横に振った。
飛鳥「もう器すらもいらないという感情さ。解脱っていうのかな? だから、今ここにいる二宮飛鳥というドールには、二宮飛鳥の魂はもう宿っていない。あとは朽ちるのを待つだけの、決められたプログラムを実行しているだけさ。
楓「じゃあ、本当のあなたはどこにいるの?」
飛鳥「言っただろう、スペースネットそのものがボクなんだ。それはつまり、キミもまたボクの一部に過ぎないってこと」
楓「…………」
飛鳥「……ボクの話はこれくらいでいいだろう。さあ、次の質問はなんだい?」
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