過去ログ - 「二宮飛鳥は孤独を忘れてしまった」
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2: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2016/06/04(土) 22:46:12.09 ID://1N5xrh0
「大雨による落雷の影響で、ーー線は現在運行を見合わせており……」
事務所と寮の、ちょうど真ん中。
昼過ぎからぐずついていた天気は夕方頃に決壊し、用事のない人からこれ以上ひどくなる前に帰宅するよう指示が出た。
寮暮らしですぐに帰路につけたのはボクだけ。幸か不幸か、で言うならそれは幸だったのだろう。ついさっきまでの話だが。
偶然にも利用している鉄道の線路付近に雷が落ちたらしく、物の見事に立ち往生。
困ったことに、寮の最寄り駅にたどり着けるのはこの路線だけだ。他の手段で帰ろうとするなら、この大雨の中を30分ほど歩く覚悟が必要になる。
「それは……ちょっと難儀だ」
雨に打たれるのも嫌いじゃないけど、この量は遠慮願いたいな、と苦笑する。
ああ、これでも一応笑える。そんなことを実感してしまえるくらいに。
……うん、寂しいし、心細い。
待合室に1人で座っているのは、存外心にくる。
普段から特別よく会話するわけではないような相手であっても、誰かがこの場にいてくれればこんな気持ちにはならなかったというものを。
昔は待ちぼうけなんて1人でするものだったはずなのに、気づけばボクは傍に他人の姿を望んでいた。
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