過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―4―
1- 20
973: ◆P2J2qxwRPm2A[saga sage]
2016/12/24(土) 23:22:43.47 ID:S6YpyFGu0
『まだ、まだなの。もう少し、もう少しなの―』

 中から可愛らしい声が聞こえる。耳を澄ませば衣擦れの音もするし、何やらパタパタと歩く音もした。朝からそんなに張り切る必要はないと思うんですが、やっぱり楽しみにしているということなんでしょう。少しだけ笑みをこぼして、私は扉を静かに開ける。中には下着姿で衣装鏡の前でてんやわんやしている子がいた。

「……まだ入って来ちゃダメなの、お洋服選び終わってないのよ」

 鏡に一瞬だけ映った私を確認して、その子はまた試着作業に戻る。
 パーティーの本番は夜だけど、昼間から来賓される人もいる。その時の服を選んでいるみたいだけど、全然決まる気配はなかった。
 だからメイドの方たちは困っていたんですね。まったく本当に子供なんだからと思いながら、私はそこの横に立った。
 私が横に至ったところで、彼女がこちらに視線を向ける。まだ結んでいない髪は私より少しだけ薄い青色で、その毛先にはピンクでとても奇抜で、初めて見た人でも覚えるような色している。そして何よりも男性なら目を釘付けにされそうな大きな胸があって、下着姿なのにそれを隠す事はしてなかった。

「下着姿はよくないですよ」
「なら、リリスが着付けしてほしいの。今日のリリスはピエリのメイドなのよ」

 そう堂々と彼女が言ってきて、その自信満々の顔にクスリと笑うと、私はその解れている止め紐を手に取った。

「はい、それがピエリさんのお望みでしたら……」

 今日の私はピエリさんの専属メイド、それがピエリさんの誕生日を知らなかった私がするべきことで、同時に誕生日プレゼントになるらしい。だから今日一日はピエリさんに振り回されるんだろうなと、内心苦笑した。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1060.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice