29: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:30:53.71 ID:9fy5FiS10
――そうだ。
京ちゃんは覚悟を決めたんだ。私たちを守って自分が戦うと。
私たちが力も無いのに加勢すれば、さらに苦戦を強いられる。そしてそれ以上に、京ちゃんの誇りを汚す事になる。
それは、あってはならない事だ。
「咲ちゃん、登れる!?」
壁の向こうから優希ちゃんの声。無事に乗り越えられたようだ。
私も岩壁の窪みに手をかけ、落っこちないように慎重に登り始める。
がきん! がきん!
戦う音が聞こえる。
大丈夫。大丈夫……
壁の頂上に登り、向こう側に降りるだけとなった。
私は振り返り、京ちゃんを見た。
「京ちゃん……!」
思わず叫んでしまった。
戦いに茶々を入れるつもりではないけど、怪我をするのを厭わず懸命に戦う京ちゃんに、胸がはちきれそうな思いだった。
京ちゃんはちらっと、私を見た。私たちが無事に岩壁の向こうに行けそうな事を確認すると、笑った。自然な微笑みだった。
「勝って……!!」
私は岩壁から飛び降りた。
着地に痛みが走る。でも大丈夫。優希ちゃんと合流できた。
優希ちゃんは既に馬に乗っていた。私もすぐに後ろに乗る。
京ちゃんの影の魔術はまだ有効のようで、道行く先まで明るかった。
馬が鳴いた。
そして、出口へ向かい駆けていく。
京ちゃん一人を残して。
お願い、勝って。京ちゃん。
こんなところで死んだら、私はあなたを許さない……!!
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