過去ログ - 【モバマスSS】欲しがりありすのおねだり奮闘記A−SIDE
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10: ◆Q/Ox.g8wNA[sage saga]
2016/06/24(金) 07:14:27.47 ID:Vecv5KXU0
私は慌てて彼女に手を伸ばそうとして、そこでふと有る事に思い当たり、その手を止めた。

こんなにも私の大切なものを奪おうとする疫病神を、此処で見捨てさえすれば、
私の今後の人生は何も奪われずに過ごせるのではないか、私はそう考えたのだ。

私は伸ばした手を宙に止めてしばらく考えていたが、手をゆっくりと引っ込め、そのまま眼を閉じて耳を両手で塞ぎ、その場にしゃがみ込んだ。


薄目を開けて見てみると彼女は、私が何をしているのか、何が起きてるのか理解できないような顔をして、その次の瞬間、凄まじい絶叫と共に、
私の悪口だか叫び声だか解らない罵声を座り込んで耳を塞ぐ私に浴びせ続けた。

やがて、その叫び声があぶくと共に聞こえなくなる。
それでも私は日が傾くまで目を閉じて座り込んでいた。


辺りが暗くなり始めた気配を感じ、恐る恐る池の水面を見下ろすと、
藻の澱みの中に鬼のような形相で目を見開き、私を睨み付ける彼女の遺体が池の底に沈んでいた。


「き、きゃぁああああっ!!!!」

余りに衝撃的な物を間近で目撃した私は、激しい恐慌に囚われ、その場を大慌てで走り去った。

ほの暗い雑木林の奥、澱んだ水の底で睨み付けてくる彼女の顔、
私はアレを思い出す度に水面の恐怖に囚われ、この歳になるまで未だに泳ぐことが出来ない。


そして家へと帰り着くと、自分の部屋へと飛び込み、布団を被ってガタガタと震え続けた。

母が晩御飯に呼ぶ声も一切無視し、そのまま只管眠気が訪れ、私の心を救ってるのを待ち望んでいたのだった。




翌日、行方不明になった彼女を捜索するために、発狂寸前の彼女の両親と警察と町内会の人たちが総出で町中を捜索した。


そしてやがて、町外れの池で彼女が沈んでいるのを発見したのだ。


その彼女の名前は中村アリス。

同じ名前のありすちゃんの事を、私が苦手に思うのは当然のことだ、と理解して頂けただろうか…。






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