18: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:30:11.38 ID:9gikU85z0
楓は僅かに一歩、後ずさる。
なんら警戒することなど、ないというのに。
先ほどから彼女の勘が、警鐘を鳴らし続けている。
19: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:31:18.64 ID:9gikU85z0
楓「……ペヤング」
それは、彼女の声にしてはあまりにも底冷えするような響きがあった。
20: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:33:14.19 ID:9gikU85z0
P「いやあ、カップ焼きそばといったら、これでしょう」
P「さっき近くのコンビニに買いに行ったら売り切れてたんですよ」
P「だからちょっと遠くのスーパーまで行く羽目になってしまったんです」
21: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:34:36.81 ID:9gikU85z0
楓「残念です」
冷ややかでいて、棘のあるトーン。
それは、井戸に毒を垂らすように、静かな声だった。
22: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:35:44.27 ID:9gikU85z0
楓「夜食にペヤングだなんて、めっちゃショックです……ふふ」
楓「カップ焼きそばといえば、夜店の一平ちゃんこそが単独首位に決まっているのに」
23: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:37:18.21 ID:9gikU85z0
P「一平ちゃんというと、あの一平ちゃんですか?」
相対するプロデューサーの声のトーンが、一段階下がる。
24: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:38:58.29 ID:9gikU85z0
楓「どっち側のひとだって言いたいんですか?」
楓も、それこそ何事もないかのような口ぶりではいるものの、背筋が凍りつきそうになるほどの威圧感が身体から漏れ出ていた。
25:名無しNIPPER[sage]
2016/06/25(土) 22:39:39.29 ID:s2xu7zxG0
最近はともかく関西じゃペヤングは馴染みが薄かったからしゃーないな
26: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:40:47.17 ID:9gikU85z0
楓「へえ」
プロデューサーの、意思の籠もった強い視線を浴びながら、楓はなんでもない様子で返した。
むしろ、お前の威勢はその程度かと笑い飛ばさんばかりに、逆に彼を見つめ返す。まったくの無表情だった。
27: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:41:41.65 ID:9gikU85z0
殆ど同タイミングでソファに腰掛けた二人は、改めて面と向かい合う。
一方の楓はソファに浅く腰掛け、もう一方のプロデューサーは、ソファ中腹に腰掛け、脚を組む。
28: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/06/25(土) 22:45:30.55 ID:9gikU85z0
自分が、これが一番だといって疑わないものがあったとして、他の全員が全員ともそうだと頷くことは滅多にない。
別のものを一番だというひとも中にはいるだろう。
自分が選んだものを指して、少なくともそれは一番ではないというひとも、中にはいるだろう。
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