過去ログ - 速水奏「The Dark Side of the Moon」
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6:墓堀人[saga]
2016/07/01(金) 12:32:53.56 ID:kj4bVlfs0
ふと、今日来た郵便物を見ていなかったことを思い出す。

今朝郵便受けから取り出したくせに、そのまま放置して家を出てしまったからだ。

私はソファに座り、ワインを置いた。目の前には乱雑に投げ出された郵便物の山が待っている。

ひとつひとつ手にとって宛名を見る。

大抵が他愛もないチラシやダイレクトメールの類だった。

私のファンの人たちは私にどんな手紙がくるのかも妄想するのだろうか?

そんな事を考えながら手にした一枚の葉書、その送り主の名前に見覚えがあった。


かつて私のプロデューサーだった人、私が初めて愛した人の名前がそこにはあった。


恋人と別れた日に初恋の人から手紙が届くなんて恋愛映画みたいだ。親友の伊吹が聞いたら興奮するのだろうけど、私の興奮は喜ばしい物ではなかった。



なんで?どうして今さら?


彼には恋人がいて、私は彼に拒絶された。そんな過去の出来事が頭を過ぎる。

しかも今時メールではなく、葉書だなんて…

居心地の悪い鼓動を感じつつ、ゆっくりと、恐る恐る葉書を裏返す。

そこには彼とその恋人、千川ちひろさんとの結婚式の招待状だった。

私はもう一度深く息を吸って、自宅の窓越しに月を探す。

けれども都会の空に浮かぶ月は、もうどこにも見えなかった。


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