過去ログ - 開かない扉の前で
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48:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:58:46.79 ID:b+Qvcd5ho

「……少し、過敏になってるんじゃないか」

 ケイくんは、溜め息をついてから、拳をつくってわたしの肩を軽くトントンと二度叩いた。

「……そうなのかな」

 そうなのかもしれない。
 なんだか、あの橋を渡ったときから、妙に気分が落ち着かない。

 聞きとりにくい声で、誰かに話しかけられているような。
 強い風の音に隠れて、誰かがわたしに何かを言おうとしているような。

 そう分かっているのに、わたしがどれだけ耳をすませても、言おうとしていることがまるでわからないみたいな。

 もちろん、風なんか吹いていないから、そんなのはただの錯覚でしかないのだけれど……。

 少し、雰囲気に呑まれてしまっているのかもしれない。

 でも……本当に見間違いだったのだろうか?

「もう少ししたら、また歩いてみよう。……雨、止んでくれるといいんだけどな」

 ケイくんの言葉に反して、雨は止む気配を見せてはくれなかった。




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