過去ログ - 開かない扉の前で
1- 20
786:名無しNIPPER[saga]
2017/10/17(火) 22:55:48.47 ID:1LbshZ6Ho

 わたしは、アンドロメダではない。

 そんなことを言ったって、意味のないことだ。

「わたしは……まひる、わたしはね、誰かとずっと一緒にいるっていうことがどういうことなのか、ぜんぜん想像できないの」

「……」

「ケイくん、と、一緒にいたいよ。でも、わたしは、ケイくんが……」

 うまく言葉に、できない。
 何を、どう、説明すればいいのか、どういう言い方なら、伝わるのか。

「失うことと手に入らないことなら、どっちが悲しいのかな」

 彼女は、天気の話をするみたいに、そんなことを言った。

「怯えることが間違いだとは、わたしには言えない。だから、それもひとつの生き方だねって、そう思うけど」

 遠くを見るような目で、彼女は霧に包まれた街を見下ろしている。

「ある意味だと、それは悟りの境地なのかもしれない。際限のない欲望と手を切って、何も求めなければ、
 傷つくことも失うこともない。ただ物事があるがままにすぎるのに任せていれば、穏やかに生きられる。
 でも――“愛奈ちゃん”はそれでいいの?」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice