過去ログ - 開かない扉の前で
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914:名無しNIPPER[saga]
2017/11/24(金) 00:56:49.61 ID:pmjGcbbto




 僕とざくろだけが、展望台に取り残された。

 さっきまで見た光景、それも今はどうでもいいもののように思える。

 階段の上にざくろが立っている。

 その表情が、穂海のそれと重なる。
 穂海のことなんて、ろくに覚えちゃいないのに。
 
 僕が初めて人を刺したときの、あの穂海の顔を思い出す。

 穂海は僕を許さないだろう。僕が穂海でも、そうするだろう。
 僕自身もまた、僕を許しはしないだろう。

 もし許してしまったら、帳尻が合わなくなる。
 僕も、誰かを許さなくてはならなくなる。

 だから僕は、僕を許してはいけない。
 でも、許さないというのは、どういうことを指してそう呼ぶんだろう。
 ただ許さないと、そう思い続けていれば、許さないことになるのか。
 
 それともそれは、ただ、許していないと思い続けることを咎から逃れる免罪符に使っているだけなのか。
 
 よくわからない。

 誰かが誰かを傷つける。それに傷ついた誰かがまた誰かを傷つける。
 傷つけられた誰かは誰かを許さない。傷つけた誰かも誰かを許さない。
 誰がツケを払うんだ?

 それでも、復讐なんて無益だなんて月並な言葉で割り切れるほど、話も事も単純じゃない。
 痛みは、循環しないといけない。




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