過去ログ - 開かない扉の前で
1- 20
94:名無しNIPPER[saga]
2016/07/17(日) 23:22:16.71 ID:MgYlpmbSo

 こちらの質問に対する篠目の返答には、
 おおかたの人間がするような修飾や補足というものがいつも欠如していた。

 数学の問題で、結果として出てくる答えだけを書いて、 
 過程の計算や手順をいっさい省いてしまうような話し方。
 
 当然それは難解で、僕だけじゃなく、大多数の人間にとって、
 彼女はかなりやりづらい相手であるらしい。

「……遊園地の廃墟で、人が消える」

 と、とりあえず僕は、意味もわからないまま、彼女の言葉をつなげてみた。

「そう」と言ったきり篠目は黙りこんでしまって、やはりその言葉に関する補足をしてくたりはしない。

 そんなぶつ切りの情報だけを渡されて興味を持てという方が難しい。

 だから僕は篠目の話にたいした関心を覚えなかったし、
 話の全容をつかめないからといって、あえて質問を重ねるようなことはしなかった。

「そうなんだ」

 と、ただ頷く。彼女といると、だいたいいつもそんな調子だ。




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice