過去ログ - 北上「離さない」
1- 20
159: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/14(日) 00:12:44.60 ID:+mqIs3yrO

「ユウちゃん、夏休みの予定決めた?」
「アタシー?そだねー、バイトと受験勉強かなぁ。」
「お、前行ってた旅の準備?」
「そうそう、バイクの資金にね。卒業したら、行きたい所あるんだよねー。子供の頃住んでた街があってさー…。」


7月3日。

夏休みを前に、アタシは友達とそんな話をしていた。
高校最後の夏休みは、程々に楽しく、程々に目標を持って。
そんな事を考えながら。

進路の勉強もしつつ、やりたい事の準備もして、友達とも遊んで。
充実した夏を過ごしたいって、そんな風に思ってた。


「ただいまー。」
「おかえりー、今日も暑かったわねえ。」
「コウちゃんは?」
「コウタはまだ部活でしょ?夏だからねー、今が一番激しいんじゃない?」
「あいつ本当好きだねー。」


家に帰ればお母さんがいて、それからお父さんが帰って来て。
あとはお父さんよりちょっと遅く、あいつが泥んこになって帰ってくる。


「うーっす、ただいまー。」
「コウちゃんおかえりー!はっはー、今日も泥んこだねー!」
「姉ちゃんやめろっての!俺もう高校だぞ!?」


アタシには、2つ下の弟がいる。
コウタって言って、いくつになっても可愛くて可愛くてしょうがない、自慢の弟なんだ。

子供の頃はさ、____ちゃんと3人でいつも遊んでねぇ、こーんなちっちゃかったけど。
小学生に上がってからずっとサッカーをやっていて、高校になってからは余計にお熱だ。

おかげで最近は、いつも練習漬けで帰りが遅い。
中学に上がってからは、くっつくと嫌がるようになっちゃって、すっかり思春期だ。
むう、弟が冷たくて姉ちゃんは寂しいよー。

でもいくつになっても、家族みんなでご飯を食べるこの時間が、アタシは大好き。

学校に行けば友達がいて、家には家族がいて。
部屋で好きな音楽を聴いて、楽しみな予定が目の前にあって。
欲を言えば大きくなったあの子に、もう一度会ってみたいな、なんてさ。

今年も良い夏になればいいなぁ、って。
山や谷があっても、何やかんやこんな幸せが続くんだろうなって。


そう思っていた。






しちがつよっか。


みんなしんだ。








<<前のレス[*]次のレス[#]>>
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice