178: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:34:04.52 ID:GKWtytdi0
それである時、出撃があってね。
持ってった魚雷の中に、あいつの処女作も混じってたんだ。
「行っくよー…わぁっ!?」
179: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:35:50.76 ID:GKWtytdi0
「はい、コーヒー。全くもー、男の子がそんなへこんじゃダメっしょー?」
「ありがとうございます…。」
「まー、アタシの話したかった事、親方が全部言ってくれたとは思うけどさ…。
正直使ったアタシも、肩がすっぽ抜けるかと思ったよ、アレ。」
180: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:37:28.03 ID:GKWtytdi0
「北上殿、おはようございます。」
「おはよ……ん?整備くん…だよね?」
「そうですが…。」
181: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:40:57.39 ID:GKWtytdi0
「んー♪ケーキ美味しー。」
「北上殿、頬に付いてますよ。」
「あ、ごめんごめん。ところでさー…北上殿って、やめてくんない?」
「い、いえ、やはり先輩には礼儀を持って…。」
「それがダメ。相手がガチの兵士ならともかくさ、どーせアタシ達なんて年頃の女の集まりだよ?
182: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:43:31.54 ID:GKWtytdi0
「どこ行ってたのさー、探したよー。」
「ああ、ちょっと違う所見てたんで。」
「そういう事するとモテないよー?」
「はは、すいません……北上さん。」
183: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:45:19.61 ID:GKWtytdi0
「はい、おしまい!」
「北上さん、私からもありがとうございます…その時のままだったら、私も多分一緒に働けてないです。
…でも、そうなっちゃうぐらい本当にショックだったんでしょうね、あの件……。」
184: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:46:51.12 ID:GKWtytdi0
そのまま消灯の後も眠れなくて、アタシはお気に入りの音楽を聴く事にした。
イヤホンからは少し枯れた声が流れて、その度に、アタシの中ではとある時期の事が蘇る。
185: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:47:40.97 ID:GKWtytdi0
ケイちゃんに再会した時、夢でも見てるのかと思った。
普通なら、大人になれば顔だって忘れてる歳だ。
だけどその頃の写真を大事に持ってたアタシには、すぐにケイちゃんだって分かった。
186: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:49:08.83 ID:GKWtytdi0
“初めまして!自分は整備士の笠木ケイタロウと申します!北上殿、何卒よろしくお願い申し上げます!”
ケイちゃんは、アタシの事に気付いてはくれなかった。
187: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:51:51.21 ID:GKWtytdi0
家族も親戚も友達も、みんな死んだ。
アタシは、名実共にひとりぼっちになった。
アタシの大切なものは。
188: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/08/20(土) 04:55:07.68 ID:GKWtytdi0
だけどアタシは、再び出会ってしまった。
大きくなった彼に、恋をしてしまった。
そして封じ込めたはずの『ユウ』は、アタシの中で暴れだす。
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