245: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/06(火) 01:31:40.36 ID:0cI4rqiK0
「はーい、おーらーいおーらーい、はいストップー。」
「はー…やっと入ったよー…。」
立体駐車場に苦戦しつつ、何とか無事到着。
彼らが訪れた家具屋は、自社ブランドによる安価さが売りの大型店だ。
店内も非常に広く、そして置いてある商品も様々。
枕一つでさえ、目移りする程の種類が置かれていた。
北上が店内を見渡すと、家族連れやカップルの姿もちらほらと見える。
それらの他の客は、皆仲睦まじく笑い合い。
彼女はそこに一抹の羨望を感じつつ、隣を歩くケイに視線を移した。
しかし彼はと言えば、北上には目もくれず、何かを探している様子。
そして壁に貼られたとある物を見付けると、一足先にそこへ歩いて行ってしまった。
「あったあった。ユウさーん、案内図これですね。」
ケイが指差しているのは、店の案内図だ。
食器コーナーや棚のコーナーと分かりやすく記されているのだが…しかし彼らの目的は、各々の枕と毛布。
結局寝具コーナーに行けばどちらも程近い場所に固められているし、天井からも、コーナーの名前ぐらいはぶら下げられている。
わざわざ北上を差し置いて、案内板を探すまでもないのだ。
続いて寝具コーナーに行くと、毛布の棚は、枕の棚の二つ隣にあった。
ケイは「じゃ、ちょっと俺は毛布探して来るんで」と北上に声を掛け、目当ての通路へ向かおうとするが。
ここでとうとう、北上の堪忍袋の尾が切れた。
「まー待ちなって…ケイちゃーん、枕探し付き合ってよー…ね"?」
「は、はい……。」
がっしりと腕を掴む北上の顔を見ると、彼女はケイが恐れる、例の目が笑っていない笑顔を向けていた。
長い付き合いの中で、彼はこの顔はかなり怒っているサインだとよく知っている。
怒りの理由は今一つ理解出来かねるが、ここは大人しく従うべきだと彼の本能は告げていた。
そうして枕コーナーへ向かうと、当然多種多様な枕が置かれている。
種類ごとにお試し用のサンプルが置かれており、北上はそれらの感触を確かめつつ、枕を選んでいた。
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