250: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/06(火) 01:40:00.64 ID:0cI4rqiK0
彼女は若干イラつきながら携帯を手に取り、誰かもろくに見ずに電話に出た。
そのままもしもし?と無愛想に電話に出ると。
数秒後、彼女は真っ青な顔を浮かべていた。
「あー、うん、ごめん……すぐ帰るから…あはは……あ!じゃ、じゃあまた後でね!」
「誰ですか?」
「いやー、ちょ、ちょっと寮でやらかしちゃってさ。当番忘れてたんだよねー!
あ、ケイちゃん!今日は着いたらすぐ逃げ…じゃなかった、帰った方がいいよ!巻き添え食うからさ!さ、出発ー!」
眠気も一体何処へやら。
北上は運転席に戻ると、そそくさと鎮守府への帰路を急ぎ始めた。
行きの危うさも何処へやら、車はすっかり手馴れた様子で迷いなく鎮守府へと帰っていく。
40分程すると、いつもの駐車場が見えてきた。
そして車はゆっくりと、恐る恐る駐車場へと入っていく。
北上の顔色は青さを増し、とうとう乾いた笑いすら浮かべている始末。明らかに様子がおかしい。
鎮守府の駐車場は、一応個人個人への割り当てがある。
レーン後ろの植え込みに看板を立ててそれを示しており、後は北上のレーンへ向かうだけという所に差し掛かり。
そして車のヘッドライトは。
コートとマフラーをたな引かせ、仁王立ちするとある影を照らし出した。
「ん?あいつなんであんな所に?」
「あ、あはは……あははははははは……ケイちゃん、ごめん。」
それは銀のポニーテールを夜闇になびかせ、『非常に良い笑顔』を浮かべている。
一見すれば美少女だが、しかしその背後からは凄まじい怒気が放たれていた。
そこにいたのは、夕張。
静かに一歩一歩近付いてくるその足は、ずしん、ずしんと言う擬音が聞こえてきそうなド迫力を放っていた。
そして夕張がバン!とボンネットに両手を乗せると、見開かれた血走る両目が二人をロックオンする。
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