過去ログ - 北上「離さない」
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251: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/09/06(火) 01:43:41.07 ID:0cI4rqiK0


「北上さーん……私言いましたよね?初運転は免許持ちがいないと危ないから、私が上がるまで待て、って……。
私ね、今日早めに終わるよう、一生懸命仕事片付けたんですよー…それで駐車場来たら、車ないですし…ふふふ、初ドライブはどうでした?どっかぶつけてませんよね?」
「あはは…ご、ごめん、その、舞い上がっちゃってついさ……。」
「つい魔が差した、で、人との約束すっぽかしますかねぇ?本当は素で忘れてたんじゃないですかー…舞い上がって。」
「うぅっ!?」


実に完璧な図星である。

実は購入時、北上は夕張と初ドライブに出る約束をしていた。
もちろん、北上の休みに納車日を合わせた上で、である。

しかしそれ以降は出撃や遠征が続き、夕張と顔を合わせる機会が少なく。
納車日が近付くにつれて舞い上がっていた北上は、すっかりその約束を忘れていたのだ。

一方夕張はと言えば、ルートをああしよう、夜にここならこういうケースも起こり得るだろう、と練習ルートを考え。
ケイが休日にも関わらず、なるべく早く終わるように、それは一生懸命仕事を片付けていたのである。

その結果がもぬけの殻の、北上と言う看板だけが虚しく残る駐車場。
これには流石の夕張も、遂に堪忍袋の尾が切れたようだ。


「大体ケイくんもケイくんだよー…何で止めないのかなぁ?
危ないわよー…私だって最初お母さんについてもらってたもん…ふふ…。

あんた達に二人に何かあったら大変でしょ!わかってんの!?

……あんた達、工廠へ来なさい。」
「「は、はい……。」」
「返事は一回!どもるな!」
「「はいぃ!」」


そして二人は1時間程、工廠で夕張からの熱い愛の説教を喰らったのである。
夕張を本気で怒らせるのはヤバいと、後にケイは語っていたそうだ。

そして夕張の怒りも収まった頃。
夕張と北上の胸中には、それぞれとある感情が過っていた。



“気持ちはわかるけど、全くしょうがないんだから…でも、抜け駆けはダメですよ?。”

“ちぇっ、もう少しだったのに…でも今回はアタシが悪いかー…まあいいや、今度こそ…。”



友情とライバル心が複雑に絡み合う中。
彼女達は仲直りと謝罪という事で、北上の奢りと運転でラーメン屋へと向かって行った。

因みにケイはと言うと、工廠で完全に石になっていたと言う。


そんな冬の始まりの、とある一日だった。




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