41: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/06(水) 07:13:02.73 ID:aBsNcwONO
「夕張さん、落ち着いて。とりあえずここの諸々は明日から見せるから。
大体どんな噂か知らないけど、そんな大それた奴じゃないし。普通に接してくれればいいから。」
「へ?ああ、ごめんなさい。つい…でも本当に同い年なのね?」
「ん?そうだけど…。」
「じゃあ私も呼び捨てでいいわよ。一応あなたの部下になるし。
これから長い付き合いになるし、何ならあだ名でも良いわ。」
あだ名かー、あんまり変なの付けてもなぁ。
仕事仲間だし、ここはシンプルに……。
「じゃあ、ユ……」
『ぞわ…………』
形容し難い寒気が俺を襲ったのは、その時の事だった。
なんだ…!?言い切ろうとしても、口が動かない。
嫌な汗が背中を伝い、まるでねっとりと舐められているかのような嫌な感覚が、ひたすらうなじを犯し続ける。
本能がこの先を口にするなと警鐘を鳴らし、脳はとにかくこの感覚から脱出しようと異常な速度で回転する。
そうだ、違う言葉を紡がなきゃ…!
実際は3秒にも満たなかったであろうその間は、まるで何時間もあるかのように俺には感じられた。
早く、早く違うあだ名を言わなきゃ……!
「夕張だし……そうだね、じゃあ、バリさんで。」
我ながらこんなかわいらしい子に、何と男前なあだ名を付けたものか。
だけどそんな風に振り返れたのは、寒気から解放された後だった。
最後まで言葉を紡いだ瞬間、まるで悪夢から覚めたように、その感覚が抜けたのだ。
一体何だったんだ……あ、やべぇ。ちょっと失礼だったかしら…。
「んー、まあ良いわ。じゃあ私も、ケイちゃんって呼ぶね。
明日から、同じチームの仲間としてよろしく。」
「ああ、よろしく。バリさん。」
不思議な事はあったものの、こうして新人・夕張との挨拶は終わったのだ。
さて…明日から色々大変だぞー。頑張ろう。
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。