過去ログ - 北上「離さない」
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480: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/02/15(水) 06:46:39.33 ID:SjIp+ZP90

「ふふふ…おいしいねー……もうさ、誰も邪魔なんかしないんだよ?
ねえケイちゃん…ここはさ、アタシの実家なんだ。それで、これからケイちゃんの家でもあるの。

ねえ……アタシが誰か、わかる?」


唐突に投げかけられた質問は、彼の混乱をより深くしていく。
目の前にいるのは、最愛の人に違いない。
だが、今はまるで別人のようにも見える。

そんな彼の姿を愉しむように、彼女は艶めかしい笑みを一層深くした。


「ま、忘れちゃっててもしょうがないよね…何年前だって話でさー。
……ねえ。アタシの苗字、教えてあげるよ。『岩代』って言うんだー……。」
「……!?」


その直後、彼女は自らの結ばれた髪にナイフを入れた。
左右のもみあげが結び目から切られ、そしてトレードマークだった三つ編みも、乱暴に切り落とされる。

先ほど告げられた名前と、そこに出来上がった彼女の姿。
それは衝撃的な現実を、彼へと突きつける。


「あの頃のアタシ、ミディアムだったもんねー……どう、思い出した?
ひどいよケイちゃーん…結婚するんだーなんて言っといて、ずっと気付いてくれないんだもーん。

あはは、お父さんもお母さんもコウちゃんも、君が見た通りみんな死んじゃったよ?
でもアタシは……ずっと、ずーーーっと……君のそばにいたんだー…。

『久しぶり』だね、ケイちゃん。アタシはユウ姉ちゃんだよー?



君の幼馴染の。」




馬乗りでそう笑う彼女は、彼ですら見た事のない笑顔を浮かべていた。








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