495: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/02/25(土) 03:52:56.58 ID:qVzOFIDxO
「おおきに。……後で話あるわ、また鍵返す時にな。」
動転した様子の夕張を尻目に、つかつかと廊下を進み、龍驤は北上の部屋の前へと辿り着いた。
きい、と開けられた扉の向こうは、至って普通の部屋。
夕張の制止も聞かず、彼女はそこの一つ一つの棚を開けて行く。
“……随分古い薬やな。処方は…あの件のしばらく後か。
ソラナックスにワイパックス……精神安定剤ばっかや。あいつ、出されたもん飲まへんかったんか…ん?”
出て来た古い薬の袋を見ていた時、彼女はある事に気付いた。
一錠も開けられていない精神安定剤の束の中。
その症状であれば、恐らくは大半の場合一緒に処方される薬が無い事に。
“眠剤が無い……それだけ使うたとは考えにくいな。
それに、何でこんな古いもん棚の手前にあんねや…最近出したっちゅうこっちゃな。”
続いてゴミ箱を見るが、こちらに目ぼしい物はない。
だが不自然だ。ゴミ出しの日は4日前、しかしゴミ箱は全くの空。
旅の準備をしていたのならば、相応にラベルやビニール等のゴミも出ていてもおかしくはない。
「龍驤さん!あれ…」
夕張の大声に振り返ると、彼女は震えながら、壁の方を指差していた。
そこにはデジタルのダーツ盤と、何本も矢の刺さった一枚の写真。
そこに写っていた者は……
「どういうこっちゃ……あいつ、何で………!!」
644Res/552.40 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。