515: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/03/03(金) 01:58:27.90 ID:R10vLyUC0
手首はベッドに。
足はガムテープでぐるぐる巻きにして。
アタシは今、実家のベッドに一番欲しかったものを縛り付けている。
ああ、アタシ、また寝ちゃってたんだ…でもしょうがないよ、あったかいんだもん。
肩の傷だって、こうして寄り添っていれば疼いたりしない。
「ケイちゃん…起きたら、またお話してあげるよ……。」
昔出された睡眠薬が、今役に立つなんて思わなかった。
あの時主治医さんに紹介されて、一度だけ強引に行かされた心療内科。
カウンセリング受けて、薬も沢山出されたけどさ…どれもアタシには、必要無かった。
心配しなくても、手首なんて切らないよ。この肩の傷があるから。
わざわざそんなとこ切らなくたって、嫌でも生きてるって思い知らされるんだ。
あ、起きたんだ?
じゃあ、お話をしてあげるよ。
「お薬、まだちょっと効いてるみたいだねー…じゃあ目が覚めるまで、ゆっくり聞いててよ。
ケイちゃんさー、アタシが着任した時の事覚えてる?
アタシはすぐに君だって分かったんだ…ふふ、どれだけ大っきくなっても、ケイちゃんはケイちゃんだもん。
でも最初、君怖かったよー?嚙み殺しそうな目って言うのかな、ずっとそんなんでさ。
アタシ、すごいショックだったんだー…子供の頃のさ、可愛いイメージのまんまだったから。
…ねえねえ、子供の頃って言えばさ、君はアタシに言ったよね?
“大人になったら、ユウ姉ちゃんと結婚するんだ”って……ゆびきりげんまん、したよね?
アタシ達、もう大人だよ?ふふ……。」
ベッドに縛り付けたのは、手首。指は緩く握られたまま。
アタシはそこにナイフの柄を握らせて、丁度刃がこっちを向くようにして。
自分の手で、彼の手を無理矢理固定させた。
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