過去ログ - 北上「離さない」
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74: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/13(水) 15:09:15.14 ID:0U9M/46cO

「ケイちゃーん、暇だねー。」
「大人しく寝ててくださいよ?さっきまで点滴打ってたんですし。
はい、うさぎさん。これ食べたら薬飲んで寝てください。」
「女子か君はー、アタシより上手く剥きやがってー。はい、ん。」
「どうしたんです?そんな硬直して。」
「いやー、まだ腕の関節痛くってさ、ちょっと落としそうで。食べさせて欲しいんだよねー。」
「あー、付かぬ事をお聞きしますがユウさん、あなた今年でお幾つになられやがりましたでしょうか?」
「21歳。大人の色気満載の北上様だよー。
まーまー、そういうプレイだと思ってさー。」
「はい、聞こえません。何も聞いておりません。
はぁ、人の親になる前に、21歳児の面倒見る事になろうとは……あーもう、わかりました。
口開けてください、ほら、あーん。」
「んぐ………んー、ほいひー。ありがとね♪」


こんな他愛もない軽口が、彼女にとって、今は何よりの薬だった。
見たくもない夢を見ていたのだ、少しでも、人の存在を感じていたくもなる。

そして熱と胸の暖かさの中で、次第に彼女の意識はぼやけ始めた。
そんな中で、彼女はちょっとしたいたずらを思い付いた。


「んー、ケイちゃん、眠くなってきた。」
「薬が効いてきたんでしょう。冷えピタ替えます?」
「お願いねー……ふぁ…すう…すう…」


眠ってしまったフリをして、彼が額に触れるのを待つ。
彼の事だ、寝ていても律儀に冷却シートを替えてくれる事だろう。

そして予想通り古いシートが剥がされ、新しいシートに替えられた時。
寝ぼけたフリをして、彼女はゆっくりとケイの手首を掴み。


「いただきまーふ…」


夢の中で何か食べているつもりで、その指を優しく咥えた。
今どんな顔をしているだろうか?
突然の事に狼狽えているだろうか?

手の震えからそんなリアクションを想像しながら、しばしその感触を楽しんでいた。その時。



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