過去ログ - 北上「離さない」
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79: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/13(水) 15:15:51.50 ID:0U9M/46cO


「で、なーんでついてくるんかなぁ?」
「そりゃもう、途中で戻ったりさせない為。」


夕張はちゃんと部屋に戻るか見張る為、彼の部屋までついてきていた。
旧来の大型寮を艦娘寮としてあてがっている為、こちらの職員寮は小さいが、まだ比較的新しい。

新品の匂いが残る廊下に羨ましさを感じつつ、彼の部屋の前に辿り着く。
そして鍵を開け、「じゃ、お疲れー。」と彼が扉を開けた瞬間。


「ダーッシュ!」
「あ!待て!」


するりと中に飛び込むと、見事に特徴の無い部屋が夕張の目には広がる。
本棚とPCとベッド、後目に付くのは、せいぜいバイク用品程度。

しかし彼女の目は、それに相反してキラキラとしていた。


「面白いもんなんて何も無いよ?大体寝に帰ってるだけだし。
ほら、ちゃんと寝るから。帰った帰った。」
「ん?卒アルはっけーん!」
「人の話を聞きなさい。全く、大したもん載ってないぞ?」


夕張がパラパラとアルバムを捲ると、彼女は迷いなく彼のクラスのページを開いてみせた。
そこには今より少しだけあどけなさの残る彼の写真以外、夕張の知るものは無いはず。
すぐに飽きるだろうとタカを括り、しばらく放っておいたその時。


「懐かしいね。あの先生どうしてるかなぁ。」
「………え?」


その言葉に、彼は自身の耳を疑った。


「君のクラスにさ、ちょっと太った地味な女の子いたよね?銀髪のさ。
地味子とか陰で言われてて、まあその通りな子だったよね。
……その子って、今何してると思う?」
「待て、何で君がそれを……。」
「研究に集中してても痩せたけど…それ以外も、ダイエット頑張ったんだ。
ケイくん、全然気付かないんだもん。逆に自信付いちゃった。」


ふとかつてのクラスメイトの記憶と、目の前の少女が重なり合う。
そうだ、確かに面影がある。
そうして驚愕に打ち震える彼を尻目に、夕張はいつもの明るい笑みを作り、こう言った。


「初めましてじゃ、なかったんだ……ここにいる夕張は、そこに写ってる私だよ。

久しぶりだね…ケイタロウくん。」




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