97: ◆FlW2v5zETA[saga]
2016/07/20(水) 07:06:56.79 ID:MhS5mzTTO
「すげぇ匂いとハエだ…俺らが入れるようになってこれか…。」
「まだ見つかってない遺体が多いらしいな…いや、正確には一部が、か。」
高2の頃、深海棲艦の襲撃事件の1ヶ月後。
学校の休みを得て、俺はボランティアの一員として、瓦礫除去作業の一団に加わっていた。
深海棲艦と言う化け物が現れた。
街が一つ滅んだ。
そこに住む、殆どの人が殺された。
何もかもが現実味を帯びた言葉ではなかったが。
しかしその惨状を目の当たりにすれば、それは夢物語ではない事を思い知る。
「おい、遺体だ。こっちは軍の駐屯地の方が近かったよな?」
「ああ、すぐ連絡しよう。」
「誰か見付かったんですか!?う……!?」
「えらいな、よく吐かなかった。
触れると感染症の危険がある、ここは軍が来るのを待とう。」
ドロドロに腐って崩れていたそれは、『おそらく』人間の足であったもの。
込み上げる嫌悪感でやっと人間のものだと認識できたそれは、最早吐く事すらままならない衝撃を俺に与えた。
宅地の細い道路に飛び散った瓦礫をどかし、最低限の道を確保するのがこの一団の目的。
しかし道路に飛び散っていたのは、凡そここにあるべきものではなかった。
壁の板や、かつて使われていたはずの生活用品一式。
家々は弾丸によるものであろう穴が開き、燃えたものや崩れたものもあった。
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