過去ログ - 【モバマスss】「今ならこの眼も、好きになれる気がするんです」
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16: ◆Xz5sQ/W/66[saga sage]
2016/07/10(日) 20:56:43.97 ID:m4cK6Isi0

 ――結局、私はこの大きな賭けに負けることはなかったが勝つこともなく。
 
 それでも予想通りその場に居たたまれなくなった私たち二人は、そそくさと会計を済ませて夜の街へと飛び出した。

 
 冬はまだ先だと言うのに、夜の街はやはり少々肌寒い。
 
 ぽつりぽつりとしたまばらな人通りを私と彼女、二人並んで歩きながら、

「プロデューサーのせいで、今日はあまりお酒が飲めませんでした」

「はい。まことに申し訳ないでございます」

「焼き鳥も、煮つけも、それに他のお料理だって」

「えぇ、本当に面目ないしだいでございます」

「……プロデューサーさん? 真面目に聞いてます?」

「さようでございますか? いえいえ、わたくしプロデューサーでございますですよ」

「…………えいっ」

 意気消沈する余り、碌な返答も出来なくなっていた私の後頭部にこつんと軽く痛みが走る。

 
 見れば楓さんが、右手を上げた、チョップの構えで立っていて、
 
「手刀を喰らって、シュッとしなさい。……楓チョップです。気合、ちゃんと入ったでしょうか?」

 そうしていつものように、「ふふっ」と優しく微笑んだのだった。


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