過去ログ - 吹雪と那智と親潮と雷が出てくる -SS速報VIP

過去ログ - 吹雪と那智と親潮と雷が出てくる

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36:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/18(木) 01:29:04.69 ID:c42TVmJV0
　叢雲は自分の個室のベッドの上で寝ていた。眠っているわけではない。体を横たえているだけだ。
　シーツ以外の枕も掛け布団も全て脇に落として、天井を眺めている。
　彼女が震えているか、自殺の方法を考えて実行しようとしている時以外は、大抵こうしている。

叢雲（なぜこうなったのだろう）
叢雲（なぜ間違えてしまったのだろう）
叢雲（なぜ生きているのだろう）
叢雲（なぜ殺されなかったのだろう）
叢雲（なぜ死なないのだろう）
叢雲（なぜ『私』は今も続いているのだろう）

　そうやってただ自問だけを繰り返す。結論はいつも同じで、自分が死ぬ以外にはないと思う。
　責任を取る方法はそれしかないし、他に何もしたくない。死ぬためならいくらでもやる気がわいてくる。
　病院の中で死ぬのは難しかった。さまざまな方法を試したけれど、いつもこの病院に勤める医師たちは自分を生かした。
　その上で自分を拘束するようなこともしなかった。すでに自分は自殺治療の実験体か何かなのかも。
　自分の自殺未遂が何かの役に立つのなら、こんなにすばらしいこともない。
　すばらしいけどどうでもいい。死にたい。
　…………。

叢雲（……眠れない）
叢雲（いつもはこうしていると気がつかないうちに眠っているのに）
叢雲（そして悪夢がやってきて、私を何度でも罰してくれる）
叢雲（夢の中で死んでも、どうして本当に死ねないんだろう）
叢雲（朝、起きることなく死ねたら……いつもの看護師さんが死んでいる私を確認して、そして）

「叢雲！　叢雲でしょう！」
「やっぱり叢雲だった。久しぶり……」
「ど、どうしたの叢雲、何が」

　―――吹雪。
　―――吹雪姉さまもそれを知る。

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