過去ログ - 【モバマスＳＳ】一日花嫁【リテイク】 -SS速報VIP

過去ログ - 【モバマスＳＳ】一日花嫁【リテイク】

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70:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:00:16.73 ID:XLmHPDUl0
「それでは誓いのキスを……」

　二人は互いを見合って、目をつむって口づけを交わす。

71:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:01:54.38 ID:XLmHPDUl0
　すでにフラワーシャワーが始まる前に二人の姿を写真に収めるアイドルたち。ポーズを求められて、二人はそれに応える。

「それでは新郎新婦が鐘を鳴らします。どうぞ！」

72:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:03:18.03 ID:XLmHPDUl0
「さ、行こう！みんな待ってるよ」

　元気よく車椅子に座り、柳も準備する。

73:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:04:12.00 ID:XLmHPDUl0
　ステージに到着して二人が着席して拍手も収まる。

「ただ今よりご両家の結婚披露宴を始めさせていただきます。まずは新郎新婦のご紹介をさせていただきます」

74:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:05:31.74 ID:XLmHPDUl0
「それではこれより祝宴に入らせていただきます。お祝いのお言葉は後程頂戴いたしたいとぞんじますので、ごゆっくりご歓談ください」

　司会のこの言葉を皮切りに、アイドルたちも社長も一斉に写真攻めに入る。カメラマンがすぐにやってきて、一組ずつ各々のカメラで撮影する。その間、柳は一歩下がった位置で加蓮のことを見ていた。

75:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:06:45.06 ID:XLmHPDUl0
　バウムクーヘンの入刀はドイツの結婚式で行われるらしく、二人で力合わせて丸太をのこぎりで入刀するという習わしがあり、丸太をバウムクーヘンに見立てて入刀するのもあるらしい。

　二人でナイフを持って、バウムクーヘンに切り込みを入れて係員が一周回してバウムクーヘンが切り落とされた。

76:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:08:02.21 ID:XLmHPDUl0
　凛と奈緒が顔を見合わせて、

「それではどうぞ！」

77:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:09:30.58 ID:XLmHPDUl0
『加蓮さん。プロデューサーさん。ご結婚おめでとうございます。安部菜々です！本日はお二人の結婚式ということで行きたかったのですが、ウサミン星でのイベントの為、断腸の思いで欠席させていただきました。でも、こうしてビデオレターでお祝いの言葉をというので、精一杯お祝いしたいと思います！六月の花嫁っていいですよね。ナナも羨ましいです。ここで一曲テントウムシサンバ！』

　ここで画面の向こうで音楽が始まり、菜々も身体でリズムを取り始めた。彼女の生歌が披露されるが、彼女と同世代のアイドルは果たして彼女は何歳なのだろうか。と疑問が出てきたはずだ。十七歳でその歌を知っているのはおそらくいない。

78:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:10:37.80 ID:XLmHPDUl0
「おじいちゃん。おばあちゃん……」

　どうやら凛たちは加蓮の祖父母の所にまで行っていたらしい。中々憎い演出だ。

79:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:11:37.59 ID:XLmHPDUl0
「次は新郎の先輩になります、山﨑様お願いします」

　先輩プロデューサーの余興はアイドルたちの持ち歌を振り付けもいれて一曲やって見せた。それには笑い声と拍手が飛び交っていた。

80:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:12:46.54 ID:XLmHPDUl0
「本日は本当にありがとうございました。私からもお礼の言葉を申し上げたいと司会の方にお願いして、この時間を設けて頂きました。皆様からの温かい励ましとお祝いの言葉をいただいて、感激で胸がいっぱいでございます」

　病気が進行して多少ろれつが回っていない個所もあったが、それでも加蓮は懸命に手紙を読んでいく。

81:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:14:29.00 ID:XLmHPDUl0
　上ずった声で文章を読み上げる。前にいた両親はもちろん感動し、横にいたプロデューサーも時折目頭を押さえる場面があった。

「ありがとうございました。私も胸にくる素晴らしいご挨拶でした。続きまして、御両家代表謝辞に入ります。御両家を代表いたしまして、新郎よりお礼の御挨拶がございます」

82:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:17:04.26 ID:XLmHPDUl0
「ねえ。最後にみんなで記念撮影良いですか？最高の笑顔で二人を祝いたいと思うんですけど……」

　自信なさそうな凛の声だったが会場の反応は、

83:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:18:15.67 ID:XLmHPDUl0
　控室に戻った二人はメイクを落とす為、一度別れる。

　先にメイクを落とし終わったプロデューサーは、誰もいなくなった披露宴会場に入る。ほんの一時間前まで盛り上がっていた場所は、大半が撤収されてだだっ広いホールになっていた。

84:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:19:25.64 ID:XLmHPDUl0
　式が終わると、再び加蓮は病院に戻り、今度はアイドル復帰に向けてのリハビリになる。プロデューサーも毎日というわけにはいかなかったが、それでも時間を見つけては一緒にリハビリに参加して加蓮に勇気を与えていた。

　それから一週間後。

85:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:20:20.17 ID:XLmHPDUl0
「――加蓮、無事でいてくれ」

　そのまま二時間が過ぎて、手術中のランプが消えた。それに気づいたのは、その部屋のドアが開いた時だった。

86:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:21:47.47 ID:XLmHPDUl0
「お父さん……。ゴメンね。あたし……。ちょっときつくなっちゃった……」

「何言ってるんだ！お前はまだまだこれからだろう！」

87:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:22:59.36 ID:XLmHPDUl0
　心電図も反応がなく一定の音が鳴り続けるばかり。

「加蓮！加蓮！」

88:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:23:50.46 ID:XLmHPDUl0
　加蓮は亡くなった――

　後日、凛と奈緒は時間が許す限り、三人だけの時間を与えた。

89:名無しNIPPER[saga]
2016/07/19(火) 23:26:48.42 ID:XLmHPDUl0
以上となります。
長々とお付き合いありがとうございました。
もしよかったら、ご意見、ご感想をいただければと思います。

リテイク前の一日花嫁もこちらにございます。ぜひ見て行ってくださいね！

90:名無しNIPPER
2016/07/20(水) 02:03:57.42 ID:R37/o1w20
乙
久しぶりに涙が出た

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