38: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 18:58:05.88 ID:N7BH6Wdqo
千歌 「どうして見せてくれないの?」
怪人クラゲ女「傘ノ中ヲ見テモ、面白イモノナンテ何モナイカラデスヨ!」
千歌 「どうして?
39: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 18:58:44.06 ID:N7BH6Wdqo
押し問答をしながら、くんずほずれつしていると、急に雨が降り出した。
千歌 「あ」
千歌ちゃんは傘を持ってきていないようだ。
40: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 18:59:43.62 ID:N7BH6Wdqo
千歌 「いいの?
中を見られたら、恥ずかしいんじゃないの?」
怪人クラゲ女「ソリャマア、恥ズカシイヨ。
デモ、千歌チャンヲ濡レタママニスルクライナラ、私ガ恥ズカシイ思イヲシタホウガ、ズットイイヨ」
41: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:00:26.92 ID:N7BH6Wdqo
千歌 「クラゲさん、お邪魔します」
梨子 「いえいえ、狭いところですが、どうぞご遠慮なく」
千歌 「今日は、竜宮城からいらしたんですか」
42: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:02:38.61 ID:N7BH6Wdqo
千歌ちゃんの家の前で、怪人クラゲ女はふたたび二体に分裂した。
千歌 「家まで送ってくれてありがとう、クラゲさん」
梨子 「どういたしまして。
43: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:03:31.80 ID:N7BH6Wdqo
雨の音にかき消されそうな声で、私は千歌ちゃんに訊いてみた。
梨子 「私の心は、どんな形をしてた?」
千歌 「お月さまみたいな、まるくてきれいな形をしてた」
44: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:04:42.32 ID:N7BH6Wdqo
梨子 「そんなはずはない。
私の心は、あなたの瞳みたいに輝いてはいない」
千歌 「へー、私の瞳、光って見える?
自分だとよく分からないけど……」
45: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:05:18.20 ID:N7BH6Wdqo
その日の夜、私は自分の部屋の灯りを消して、考えごとをした。
月明かりに照らされた水槽の中で、クラゲの光が揺らめいている。
梨子 「ねえ、ジェリーちゃん」
46: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:06:00.38 ID:N7BH6Wdqo
梨子 「ねえ、ジェリーちゃん」
梨子 「どうしたの、梨子ちゃん」
梨子 「……ごめんね、今まで閉じこめてしまって」
47: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:07:52.29 ID:N7BH6Wdqo
梨子 「ちゃんと、みんなと友達になれるかな?」
梨子 「大丈夫だよ。
その証拠に、私をあなたの最初の友達にしてほしいな」
48: ◆hxGgtPv0f.[sage]
2016/07/22(金) 19:08:35.78 ID:N7BH6Wdqo
私のその言葉を聞くと、ジェリーちゃんの傘が、嬉しそうにフワリと膨らんだ。
梨子 「ありがとう。
それじゃあ私、もういちど、竜宮城でピアノの練習してみる」
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