35:名無しNIPPER[saga]
2016/07/23(土) 23:30:34.67 ID:G7thJZfF0
膝から崩れ落ちる兵士に、春香が優しく声をかける。
「でも、私ならその糸を切ってあげられるわ」
「……!?本当か!」
「ええ、勿論。あなたはもう苦しまなくていいの」
春香がホログラムに手をかざす
「ほら、『消えたわよ』」
隊員が恐る恐る腹部に目をやると、確かに赤い数字の羅列はなくなっていた。
「なんで……助けてくれたんだ」
「ただ、人形劇が嫌いなだけよ」
春香が優しく返すと、隊員は仮面に手をかざして何やら呟いた。
ガコン、という機械音の後、隊員の仮面が外れ素顔があらわれる。
悪人面でも、冷徹な機械のような顔でもなく、どこにでもいそうな好青年だった。
「……本当にありがとう。俺はこのまま学園都市を出て、故郷に戻るよ。お袋にも、あいつにも久しぶりに会いたいんだ」
「そう、それがいいわ。あなたを操る糸はもうないもの」
隊員、いや、青年はもう一度礼を言うと、学園都市と反対方向へ歩き出した。
彼の背筋はしゃんとしたものではなかったが、先程までよりもしっかりと、自分の足で地を踏みしめているのは確かだった。
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