過去ログ - 高森藍子「誰かを笑顔にできるなら」
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27: ◆6X9N3xfEM.[sage saga]
2016/07/24(日) 17:58:04.19 ID:wiTHyHYmO
「けど、普通ってのは悪いことじゃないって思ってたからな」
先輩は取り出した書類に判を押すとそれを上司のデスクに放り投げる。
「個性が無いことが、ですか」
これだけいろんなアイドルがいる時代だ。他の誰にもない個性が求められる、そんなことは常識だと思っていた。
「まあ、最初のうちはな」
机の引き出しをロックした先輩は鞄を持って残ったコーヒーを一気に喉の奥へ流し込んだ。
「個性がないってことは、自分の好きなように輝きを引き出せるって意味だからな」
「はあ…」
呆然とする俺の前を通り過ぎた先輩は入り口の前でこちらを振り向いた。
「鍵は持ってるよな」
「あ、はい」
今まで使ったことなど一度もなかったが。
「最後に出る時は電気消して鍵かけて、一階の守衛さんに声かけていけよ」
そんなルールがこのビルにあったのか、今日の今日まで知らなかった。
それだけ言い残してドアから姿を消しかけた先輩は上半身だけ部屋の中に戻して最後にこう言い残した。
「まあなんだ…最初はまず何をするべきか(I must)よりも、どうしたいか(I Want)だけでいいんじゃないかな」
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