過去ログ - モバP「お前を芸術品にしてやるよ」頼子「……」
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2: ◆3UO.XRpYJ2[saga]
2016/07/25(月) 00:24:55.88 ID:ilyuscAp0

「あ……ここです」

それほど十分ほど経って、僕らは目的地に到着した。

結局、到着までに僕が彼女に話題を振るようなことはなかった。先程の彼女の言葉に少し安堵したような響きがあるのもきっと勘違いではないだろう。

そうですか、と相槌を打ちながら、彼女と同じように僕も少しホッとしていた。とりあえず、先程までのむず痒いような沈黙からは解放されるだろう。

彼女の方を見る。古澤さんは、まっすぐに美術館の方を見つめながら微笑んでいた。

視線を追うと、今日の展示品のポスターが貼られている。付き合いが短くても、流石に彼女が今日の展示に高揚しているであろうことは伝わってきた。

「楽しみなんですね」

「えっ」

別に深く考えずににそう言ったが、そう言われてから彼女は僕の視線に気が付いたようで、恥ずかしそうに顔を赤らめた。

「……その、はい」

「あれ、どうされました?」

「えと……そんなにじっと見られると、恥ずかしい、です……」

「……!」

「P……さん?」

「い、いや!すみません、つい!ハハァ……」

彼女の恥じらうような態度にドキリとしていたのだが、それを表現する力も度胸も僕にはなかった。

僕らの間にまた沈黙が降りる。いたたまれなくなって、すぐに口を開いた。

「じゃあ、行きましょう……か」

「は、はい……」

そんなやり取りをしてから美術館に入った。美術館は、外でよくわからないやり取りをしていた僕らに「まあ落ち着きなさい」とでも言いたげな冷風を送りつつ僕らを迎え入れてくれた。




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