過去ログ - カチューシャ様と呼びなさい
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10: ◆naranciafLZ1[saga]
2016/07/25(月) 01:05:32.69 ID:Jp+bK6hio
「ノンナ、私はね、こんな体よ。小学生の頃から身長が伸びなくなったの。
だから体力がなくて装填手なんて絶対無理。操縦も椅子に座ったら脚が届かないわ。
ロシアの戦車が好きだからここに来たけれど戦車道っていう競技に向いてないこの体を呪いたいわよ」

「なんか、ごめん」

「謝らないで。でもそうね、ノンナみたいな体だったらなと思うことは実のところよくある。
けど仕方ないじゃない。私は私なんだから、私にやれることをやるしかないの。
ノンナも同じよ。ノンナがやれることをやるしかないのよ」

「私が、やれること」

「誰もついてこられないくらい砲撃も操縦も上手いじゃない。
ちょっと指示を出したり反射的に考えるのが苦手なだけでしょ」

「そうかな」

「そうなの。それで私、実は作戦を考えたり指示をだすことは得意なのよ。
小さいし体力もないから人にやってもらうことは上手くなったの」

 視線を地面に落として縮こまっているノンナに手を差し出して私はこう言った。

「ねえノンナ、私達、いいコンビになれると思わない?」

 ノンナは切れ長の目を見開いて私を見上げてくる。
しばしの逡巡の後、真っ白で大きな手がおずおずと握り返してきた。
私は固く手を握って私より遥かに大きい質量の彼女を立ち上がらせようとしたけれど、勢い余って後ろにひっくり返ってしまう。

「いったた……」

「大丈夫?」

「これくらい平気よ。それで、よかったら立ち上がらせてくれると嬉しいわ」

「あ、うん」

 大きな体の彼女は、私のことを力強く引っ張りあげてくれた。
立ち上がって並ぶと目線はとても遠い。
私はおもいっきり見上げて「よろしく」と言った。ノンナも顎を引いて「よろしく」と返した。


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