28: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:11:41.11 ID:JY7Hx0GQ0
私の囁きを打ち破って、彼女の声が響いた。
彼女の声の余韻が、耳鳴りとなって私の脳を突き刺す。
29: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:12:48.27 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「おめでとうございます。ところで、のあちゃん。いくつか質問しても?」
のあ「今日の仕事のことかしら」
30: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:13:56.32 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「何かが、変わる気がしたから。今まで真っ暗だった世界に、光が差し込むような、そんな」
ちひろ「そうですか」
31: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:15:32.14 ID:JY7Hx0GQ0
のあ「……ところで、私が変えたかったものだけれど。それは、今までの私よ」
ちひろ「今までののあちゃん、ですか」
32: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:17:16.50 ID:JY7Hx0GQ0
やけに口がまわる。思い出したくもなかった自分のことを、話してしまう。
のあ「代々、稀にこういう銀の髪を持った子供が生まれる。私の家族からすれば、それは驚くことでも何もなかった」
33: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:19:11.59 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「人真似がうまいのは、身を守るための策か何かですか? きちんと正解を選んで、人から叩かれないように」
のあ「……今更驚かないわ」
34: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:20:26.28 ID:JY7Hx0GQ0
彼女は、再び空を仰ぎ、黒い緞帳の向こうで輝く星を見極めるように目を細めた。
ちひろ「でも、わたしは思うんです」
35: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:21:52.37 ID:JY7Hx0GQ0
見えない星――今もこの空の向こうには、星が鏤められているはずだ。しかし、それは私達には見えない。
見えないということは、そこにないのと同じことだ。
36: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:23:20.12 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「プロデューサーさんは、よくアイドル達は星なのだと言います。わたしも、それをすべて否定することはしません」
ちひろ「たとえ見えなくたって、その輝きを伸ばして、その子の魅力をファンに伝えることがプロデューサーの役目なんだと、彼は言っていました」
37: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:24:53.89 ID:JY7Hx0GQ0
全ての星を輝かせることは、幾ら大きな力を持っていたとしてもできることではない。彼女はそう言っていた。
でも。
38: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:27:42.61 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「彼女は夢を諦め、憧れることを辞め、大それた夢を抱いた自分を憎み、いまだ上を向き続ける少女達を羨み、全てを失ったと嘆きながら脱落していきました」
ちひろ「のあちゃんは、その子と似た目をしているんです」
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