49: ◆Ava4NvYPnY[saga]
2016/07/27(水) 00:45:52.58 ID:JY7Hx0GQ0
ちひろ「望遠鏡です。空を見上げるための。好きに使ってくださいとは言いましたが、できれば、星を見つけてくれたら嬉しいです」
黒いビニルのケースに入ったそれを私に差し出した彼女は、「もうしばらく鍵は開けておきますから」と言い残して、屋上から姿を消した。
ただ一人残された私は、そのケースを開けて三十センチほどの白い筒を取り出した。
のあ「意外と、重いものなのね」
わからないなりに三脚と望遠鏡を取り付ける。覗くところがないことに気付いてケースを探ると、接眼レンズと書かれた黒い厚紙のケースが隅に収まっていた。
それを望遠鏡に嵌め込んでから、私は遠くを見つめる。ビルの隙間に、ほんの少し欠けた月が浮かんでいた。
私は望遠鏡の先をそれに向けて、おそるおそる右目で接眼レンズを覗きこんだ。
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