過去ログ - モバP「速水奏の輝かせ方」
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100: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/16(火) 06:25:24.78 ID:gqYGk2WU0
 動画を眺めて、千川さんの言う無難の意味が理解できた。俺の用意した演出では、安定感は増しても驚きや目新しさは感じないだろう。

「わからん」

 唸りながらデスクに突っ伏す。

「あの、先輩?」

 頭のなかでステージを構築していると、後輩に声をかけられた。身体を起こして振り向くと、後輩は驚いている様子だった。

「……大丈夫ですか? 随分と疲れた顔してますけど」

「速水さんは好調だよ。俺は絶不調だけど」

「珍しいですね。顔にまで出るのは初めて見ました」

 つまり普段は雰囲気で悟られていたのか。意外と態度に出やすいのかもしれない。気をつけなければ。

「いやはや参ったね。参ったんだよ」

「あの……そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないんですか?」

「難しく考えてるつもりはないけど」

「先輩はもっとこう、感情的になってみるといいかもしれません。やっぱり情緒に訴えるものですから」

 以前の飲み会で千川さんから聞いた言葉を思い出した。なるほど、考えてばかりでは駄目なのか。

「あっ、あの……偉そうなこと言ってすいません」

「いや、参考になった。ありがとう」

 だとすれば、問題は俺はなにを伝えたいか。

 案外、感情の問題が一番難しいのかもしれない。


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