120: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/17(水) 11:56:23.56 ID:90KdAnqB0
「奏さんのステージ、本当によかったです! ええと……、上手く言葉にできませんね、ふふ」
駆け寄ってきた新田さんは興奮気味にはにかんだ。数日経っても、テンションは冷めきっていないのかもしれない。
「ありがとう。新田さんもよかったよ。安定のなかにある迫力は奏にはまだない要素だ。勉強になった」
今日は夕方から打ち上げが催されていた。アイドルと社員でごった返した会社の大ホールは壮観でさえある。
改めて、定例ライブは終わったのだなと実感した。
「プロデューサーさん、美波をいやらしい目で見ていたでしょ」
奏は悪戯っぽく口角を上げる。たしかに新田さんの衣装は相変わらず肌色率が多かった。釘付けにするという意味では、上手い戦略である。
「なるほど、奏は新田さんをいやらしいと思ってたのか」
「ちょっとっ!」
「ええー、奏さん、私のことそう見てたの……」
「ああ、どうやら新田さんを卑猥で淫靡な存在だと認識していたらしい」
「うぅ、私だって好きで着てるわけじゃないのに……」
わざとらしく俯く新田さん。思っていたよりノリがよく、茶番に付き合ってくれる。
「もうっ美波まで。……美波は女の私から見ても魅力的よ。あれだけ露出してもいやらしくならないのはすごいと思うわ」
「そうだな。ある種爽やかに見えるのは、新田さんの振る舞いや性格に起因するんだろう。純粋なんだね」
「どうでしょうね? 意外と女の子は強かなんですよ?」
新田さんは瞳を潤ませて上目遣い。うっとたじろぐほどの色気と、目を背けたくなる背徳感を覚える。
でも、視線を逸らせないのは彼女の魅力故か。
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