過去ログ - モバP「速水奏の輝かせ方」
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18: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:30:50.50 ID:pU98D89e0
 明るめに俺は言う。

「怖い顔してるよ? どうかした」

「……私には労いの言葉もないのね」

「うん? なに、労って欲しかったの」

「そうじゃないわよ。でも、担当アイドルに感想のひとつぐらいあってもいいんじゃないの?」

 ため息混じりな速水さん。どうやら不貞腐れているご様子。もっとドライなのかと思っていたが、そうでもないらしい。

 なかなかの可愛い生物。惚れそう。

「通しレッスン見ないことには大したこと言えないけど」

「評価はあとでいいの。今はあなたの感想でいいよ。なにかしらあるでしょう」

「感想ねぇ、月並みなことしか言えないけど、よかったよ。ただまだ発展途上とも感じたかな」

 ありきたりな感想だ。それこそ誰にでも当てはまるような。

 しかし、速水さんにはそれで十分だったようで、

「そう、お眼鏡に叶ったのならよかったわ」

 満足げに頷いた。その表情は年相応に見えた。

「そろそろ始まるだろうし戻るよ」

「待って、ひとつだけいいかしら」

 速水さんの声音には冷たさがあって、俺は自然に背筋を正す。彼女の黄金色の双眼は鋭く俺を見据えていた。

「担当アイドルをほっぽらかして鼻の下を伸ばすのは、ちょっと頂けないかな」

 年不相応な迫力に気圧される。

「は、はぁ、次からは気をつけるよ」

 そそくさと退散する情けない俺は仮免プロデューサーである。だから、速水さんはなにを考えているのか、いまいちわからなかった。



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