17: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:28:32.39 ID:pU98D89e0
同い年ぐらいであろうトレーナーさんはにっこり微笑む。
このプロダクションのトレーナーはみなアイドル並みに可愛い。油断すると惚れそうだった。気をつけねば。
「いえ、トレーナーさんから見て速水はどうなのかと思いまして」
「凄いです。なにを教えてもすぐに吸収するんですよ。筋もいいし勘もいいんでしょうね」
ほっと安堵する。見立ては間違えていなかった。一応、俺の眼を疑う必要はなさそうだった。
「それはよかった。では、問題はありますか?」
そんな質問をするとトレーナーさんはうーんと唸った。この感じからするとなにかありそうだ。
「言葉にするのは難しいです。たぶん、見てもらったほうが早いと思います」
ズルはするなということか。さて、俺の審美眼と観察眼が試されるときがきた。自信ないけど。
「わかりました。引き続きよろしくお願いします」
軽くお辞儀をしてパイプ椅子に戻る。とりあえずは次のライブ楽曲の結果次第か。そんなことを考えながら腰を下ろそうとすると、不意に視線を感じた。
ここには三人しかいないわけで。
膝を抱えて座る速水さんにガン見されていた。
無視するわけにもいかなくて、俺は落としかけていた腰を上げて速水さんの元へ向かう。
遠目にはわからなかったけど、近づくと速水さんは不機嫌そうに見えた。
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