過去ログ - 加蓮「夢から覚めた夢」
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5: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/06(土) 18:05:26.71 ID:BU27iTTVO






奈緒とプロデューサーがまた暴走するといけないから重い話は少しとばすとして。
その宣告を受けた私は、もう完全に生きる希望を失っていた。
何か目標を持ったところで。
何か目的を見つけたところで。


どのみち、一年後には終わってしまうのだから。


溜息を吐く気力もなく、ベッドの上で静かに固まっていた。
外の鳥の鳴き声もまったく耳に入らない。
私は残りの一年を、この小さな病室で過ごさなければならないのか。
電子音とカーテンに囲まれて、一人で…


今更になって涙が出そうになる。


なんで、私が…
どうして?何か悪い事でもしたの?
ねぇ、神様…


無意味な質問が頭を埋める。
どんどんと心が弱ってゆく。
既に視界はボヤけきっていた。


けれど、ふと思い出した。
もうすぐ、医者と話している親が戻ってきてしまう。
きっと親も、とても辛い思いをしているに違いない。
そんな時、私が泣いていたら…


なんとしても涙を止めるため。
負の思考をやめるため。
急いでテレビのリモコンに手を伸ばした。


なんでもいい、今の私の気を紛らわせるものなら。
天気予報、教育アニメ、グルメリポート。
次々とチャンネルを回すと、私は一つの番組で指を止めた。


テレビの画面には、笑顔いっぱいにマイクを握るアイドルの姿。
楽しそうにサイリウムを振るファン達。
ステージに広がる色とりどりの光。


その光景は、私の目を奪った。
そして同時に。
私も、あんな風になれたらな、なんて。
そう、願った。


少し微笑み、目を閉じた。
なんだか余計に泣いてしまいそうになったから。
あぁ…少し、疲れたな。
もし叶うなら、夢の中だけでも…


私の意識は、少しずつ薄くなっていった










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