139:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 20:03:30.79 ID:Hr1jCc1H0
「まあ、あれも商売なんだろうな」
「ですね」
そう二人で笑い合っていると、又もや頭の中に何かの違和感を感じる。
私は違和感の元を探ろうともう一度景色の記憶を目を閉じて巻き戻してみた。
時読みの姿…歩き出した街の風景…ナオとの会話…道行く人々…。
その瞬間、私は目を開けた。そしてユックリとなるべく自然に振り返った。
私の二十メートル後方に一人の男が私達と同じ方向を歩いていた。
…四回目だ。
あの男の顔を見るのは、この街に入って四回目だった。違和感の元はこの男だ。
こんな広い街で同じ人間を四回も見るのは不自然だ。
先程、三回目の時に、どうやら私は違和感を覚えていたらしい。
「…どうしたんですか?」
ナオが私の異変を感じて少し怯えた様に尋ねた。
私はナオに軽く微笑むと果物が入った袋を顎で指し示す。
「…悪いけど、ちょっとリンゴを粗末に扱っても良いかな?」
「え?」
「あ、いや、言葉を誤魔化したな…スマン、ちょっとこの果物を俺にくれ…」
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